2016年夏の兵庫県地方大会決勝戦は真夏の炎天下7月28日に明石トーカロ球場(明石公園第一野球場)で開催されました。
高校野球の兵庫県大会は強豪校や伝統校がひしめく全国でも指折りの大激戦地のひとつです。尼崎市立尼崎高等学校と明石商業高等学校の対戦でした。
市尼は33年ぶりの甲子園出場をかけ、一方の明商は春夏連覇をかけていました。
果たしてどんな感動的なエピソードがあったのでしょうか?
序盤戦

市尼の投手は平林弘人(3年)で、明商は吉高壮(3年)でした。
13時に試合開始で、先攻は市尼です。3回に市尼の先頭打者が中前打で出塁した後、犠打とパスボールで1死3塁のチャンスを作りました。
2番打者がスクイズをして、投球がワンバウンドして空振りになったが、捕手が止められなくバックネットへ入ってしまったのです。
3塁走者が返り、市尼は1点を先制しました。しかしながら、3回裏に明商は9番打者の四球と2番打者の中前打によって絶好のチャンスを作って3番打者の犠打でたちまち1点を取って試合は振り出しにもどりました。
3回終了 市尼崎1−1明石商
中盤戦

明商は4回裏に1死で6番打者が2塁打、続く7番打者が中前でタイムリーヒットを打ち、勝ち越し点を取りました。
市尼は7回表に1死の後、8番打者の中前打と9番打者の死球で2死1塁、2塁となりました。1番打者が三遊間を破るヒットを打ったのです。
この間に2塁走者と3塁手が交錯したのですが、走塁妨害の判定によって2塁走者がホームベースを踏み2対2の同点になりました。またもや試合は振り出しにもどりました。
まさに白熱のシーソーゲームの様相を呈してきました。
7回終了 市尼崎2−2明石商
終盤戦

8回表に市尼は吉高に代わった三浦功也を攻め、3番打者がヒットで出塁した後、犠打で2塁へ送り5番の投手平林が2塁打を放ったのです。
2塁走者のスタートが遅れたにもかかわらず、明商のカットマンが一人もいなかったために、ライトの返球が転がる間に2塁走者がホームを踏みついに市尼が逆転しました。
市尼は9回裏に2死1、2塁の大ピンチを迎えましたが、投手平林の不撓不屈の精神で、最後の打者をレフトフライに打ち取り試合終了となりました。
試合終了 市尼崎3−2明石商
市尼が3対2で明商を破り、決勝戦を制し、33年ぶりの甲子園出場の切符を手にしました。マウンドは市尼ナインの歓喜の模様が映し出されました。
竹本監督号泣
市尼の竹本監督は校歌が流れる間中も校旗掲揚中も感極まったのか泣きじゃくり号泣していました。
優勝インタビューでも号泣し、なんとか喋るのですが、涙が止まりません。見ている方も思わずもらい泣きです。
放送席で泣きじゃくる竹本監督を鼓舞するかのような竹本コールも観客席から聞こえてきます。
「ありがとうございます。勝ててうれしいです。選手が平林がよくやってくれました。明石商は強いチームだから胸を借りるつもりでした。」という話が印象的でした。
最後に

市尼対明商の決勝戦は実に緊迫した好試合でした。
市尼の竹本監督の男泣きは試合以上に感動的でした。プロ野球のオリックスの出身だっただけに、市尼の監督に就任したらすぐに甲子園に行けると思っていたそうです。
しかしながら、ここまでの道のりは長く険しいものがあったようです。監督就任16回目の夏にやっと偉業を達成できたのです。
まさに感無量だったと思います。なかなか甲子園出場できないので、外野席がうるさく一時監督から離れ部長をやっていた時期もあったようです。
それだけに今回の優勝は感謝感激だったと思われます。涙の意味が自然に伝わってくるようです。
甲子園では八戸学院光星に延長10回の末、残念ながら破れますが、記憶に残る素晴らしい試合でした。